12月のベロニカ / 貴子潤一郎

12月のベロニカ (富士見ファンタジア文庫)

12月のベロニカ (富士見ファンタジア文庫)

さすがにファンタジアの大賞は伊達じゃないなぁと思いました。
もともと王道なファンタジーはあまり好きじゃなくて、この本も女神ファウゼルとか巫女ベロニカになるためにとか、ベロニカの騎士がとか、トリゼアとルグナスが戦争をとか、そんなこんなで何かいろいろ挫けそうになったために前半はやたら時間がかかったのですが、ある仕掛けの後は惹きこまれて一気読み。
設定としては王道ファンタジー一直線な感じ。次期ベロニカを送り届ける13人の騎士の一人フレイルの視点で物語は進みます。そして13人の中から一人ベロニカの騎士が選ばれるという話なのですが、主人公は幼い頃ベロニカと幼なじみで約束があってそのために騎士にまでなっていて…みたいな感じ。
話は13人の騎士が敵国の兵に襲われ、そこにハキュリーという謎の男が助けに入って、残された数人の騎士とベロニカ、そしてハキュリーがいろいろな困難にあう感じ。騎士のプライドとか、幼い頃の約束とか、そんなことを思いながら進むと明らかになる過去によって、二代のベロニカをまたいだ因縁や、繰り返す数奇な運命、その中での決断、交錯する思いとその結果の悲劇で一気にもってかれます。
全体的に非常に良くできてますが、文章は少し粗いかも。ただ、その粗さが不器用な騎士の一人称として上手く機能してるので良い感じです。でも、やっぱり趣味とは違うなぁというのが正直な所ではありました。
満足度:B-