レジンキャストミルク / 藤原祐

レジンキャストミルク (電撃文庫)

レジンキャストミルク (電撃文庫)

この手の雰囲気のものを読むたびに、今時っぽいとか西尾維新っぽいとかファウストっぽいとか言ってるだけでは芸が無いのですが、私のボキャブラリーの中ではそう語るのがベストであるので、やはりこれはファウスト的なライトノベルなのだと思います。的だけどあくまでライトノベルである辺りがポイントかなと。
登場人物が異能者で一種の超能力バトルものではあるのですが、日常/非日常とかキャラクター達の抱える欠落とか主人公の性格とか、ちょっと壊れたような感じがファウスト的だなぁと思った理由。文章や台詞回しは西尾維新的ですが、西尾維新ほど上手じゃない印象。
話は硝子と晶の周りの人間関係が繋がっていくあたりから、不穏な空気を漂わせ始め、最終的には救いがないというか歪んだ展開へ。話がどこか狂った日常から、明らかに狂った非日常へシフトします。この気持ちの悪さは好みです。
虚軸の設定は面白いです。しかし最凶最悪の虚軸であるはずの『全一』の能力は弱すぎやしないかと少し思いました。そしてその出自の設定はどうなのかこれ。
そしてそれ以上に魅力的だったのはキャラクター。硝子の感情があるようなないようなどこかずれたような、一人称丁寧語の文章はかなり魅力的でした。理緒や蜜のキャラクターもいい感じです。
いかにも導入編で、まだ始まったばかりで続編待ちという感じですが、この感じなら続編に期待したいと思います。
満足度:B+