- 作者: 嶽本野ばら
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2004/03
- メディア: 文庫
- 購入: 6人 クリック: 38回
- この商品を含むブログ (173件) を見る
ガチガチのロリータ少女にバリバリのヤンキー少女の友情物語。そして舞台はド田舎下妻。ダメ親父に、時代遅れな暴走族。派手すぎる原チャにロリータ服のブランド。要素要素を取り出せばどこまでも突飛で、一体どこに付きぬけてしまうのだろうという話なのに、イチゴと桃子の友情物語の素晴らしさったらありません。
いきなりロココの硬い説明から始まったと思った物語は、数行で一気に砕けてギャグ満載の文章へ。様々な薀蓄を交えながらもくどくなりすぎないのはその辺のバランス感覚がいいのでしょう。
桃子とイチゴの関係は素晴らしいの一言。お互いに絶対に相容れない部分がほとんどのくせに、お互いがお互いをきっちり認め合う距離感の良さ。信念と誇りを持ってロリータとヤンキーの道を進む二人は、どんなに変人でも格好いいし、その二人がお互いを尊重しながら親しくする関係は素敵としかいいようがありません。そしてその交流の中から、お互いが少しづつ成長する様がまた良いです。ラストの方にいくにしたがって深くなる絆と成長する二人の様子は読んでいて気分が良いです。あと、さりげなくお祖母様が素敵。
桃子のロココな考え方は超利己的であんまりといえばあんまりですが、素敵だなぁと思ったのも確か。こういう思想を持ってこういう風に生きられたらそれはそれで素晴らしいだろうなぁと思いました。
中盤や終盤の展開はあまりの都合の良さも感じますが、そんなことはあまり気にならない快作だと思います。映画版も見なくては。
満足度:A