- 作者: 田代裕彦,若月さな
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2005/12/10
- メディア: 文庫
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キリサキの続編ではないとあとがきに書かれていますが、設定を同じくしている部分が多く、雰囲気もそっくりなので、姉妹編と言ってしまっていいでしょう。最後がああですし。
話としては一度死んだ《僕》は《私》として過ちを未然に防ぐため、人生をしなおすもの《シナオシ》になり、かつての《僕》の犯行を防ごうとするもの。ただ《私》には《僕》が誰だったかという記憶が欠けている為、犯人探しのミステリーのような形になります。構成としてはその《僕》と《私》の視点が交互に語られる形。明らかに何か仕掛けてあるなとは思ったのですが、種明かしではそうくるかといった感じでした。少しずつ明らかになっていく事実と最後一気に加速する謎解きがいい感じです。死人が入れ替わって生き返るというSFな設定と謎解きサスペンスな感じが上手く融合している感じがします。
キリサキと比較すると、大分文章がこなれているというか、綺麗にまとまってしっくりくるようになっていた気がします。後半の謎解きも呆気に取られる驚きはなかったのですが、ちゃんと納得できる感じでしたし、読後感も悪くなかったです。その辺の部分でこちらのほうが個人的には好きです。
満足度:B+
以下ネタばれ反転。
時間軸がずれてるんだろうなという予想はしていたのですが、それにしてはズレが少なすぎておかしいなと思っていたら、時間の改変によるパラレルワールドでしたか。はじめのせかいと《私》の世界は《私》のみに連続性を持ったものであったと。リセットして違う世界をやり直す話は、やり直す人間が二人以上になると混乱すると思うのですが、これはやり直しが《僕》だけだったのでわかりやすかったです。ただ、一回目のやり直しは不可避だったのに、やり直さないで先に進むことが大事みたいな話におとしこむのはどうかなと少し思いました。