レキオス / 池上永一

レキオス (角川文庫)

レキオス (角川文庫)

読み終わってとりあえず一言「すげぇ」。
面白いとか面白くないとかそれ以前に突き抜けています。
自由奔放すぎる想像力と妄想力に筆力が伴うと、こんなとんでもない物語を小説として纏め上げてしまうんだと思うと眩暈がします。とにかく何をどこからどう説明すれば良いのかわからないカオスっぷり。アメリカ軍と地元意識に揺れる沖縄という地、そこに暮らしている日系のアメリカ人高校生デニス、さらに謎の米軍キャラダイン中佐とその部下ヤマグチ少尉、天才変態科学者サマンサにもと人間コンピュータろみひー、CIAのコニーやフェルミ、ユタのオバァに過去と現在と未来を見通す友庵は2000年に封じられ、それを追いかける逆さで鼻のない女のチルーはデニスの守護霊となりと登場人物の羅列だけですごいことに。話はセヂというエネルギーのようなものや、ノロにレキオスといったよくわからない単語を連ねながら、沖縄の神々に神話、キリスト教に米軍、CIA、謎の組織GAOTU、人類学に物理学に大統一理論に5次元空間と脈絡もなく広がり、さらには100年3000年と時代すら越えて天井知らずに暴走。幻想的な物語も現実的な問題も全て詰め込んでひたすらに疾走します。序盤から中盤は強烈にドライブ感があり視点が飛びまくり主語を変える文章と、濃すぎるキャラクター、はちゃめちゃな展開に酔いそうになりました。終盤には全ての要素が一つに繋がって物語はクライマックスを迎えるのはさすがとしか。しかしよく考えても分からない部分が多々。その辺はもう考えないほうがいいような気がします。
とにかくあらゆる意味で濃い物語で、個人的には好みではないのですが、それでもすごかったし面白かったです。サマンサ博士の変態っぷりが最高です。
満足度:A-