- 作者: 岡崎隼人
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/06/07
- メディア: 新書
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第34回メフィスト賞受賞作。あまり数を読んでいる訳ではないですが、私の中の講談社ノベルスとメフィスト賞の印象を全く裏切らない小説でした。粗筋と冒頭数ページで舞城とユヤタンっぽいかなぁと思ったら、まさか本当にそのまま舞城でユヤタンだったなんて。ファウストチルドレンな感じです。あと浦賀色も強いらしいのですが、地球平面委員会しか読んでいないとなんとも。
というわけで、ただひたすらに主人公が壊れていく一人称小説。中盤から後半の畳み掛けるような強迫観念とかはスピード感があって良かったのですが、ラストはなんと言うか拍子抜け。とっ散らかった話が綺麗に収束した感じでも無いし、話自体ももう少し突き抜けたものが欲しかったような。というよりも、話そのものの突き抜け方うんぬんではなくて、壊れた話に付きまとう著者の情念とか妄執とかそういった生々しいものがもたらすカタルシスを感じられなかったというのが大きいです。話の表面下に渦巻いてるエネルギーのようなものがあまり感じられないような。どちらかというと、なんだかお手本どおりに壊れてる印象が強かったです。それか新しい世代(私がそれを言うか!)の書くものに私がついていけなくなったか。
話筋は乳児誘拐に猟奇殺人が多発で、謎の少女をかくまったり、過去のトラウマに殺人犯からのアプローチ、そして幼なじみの引きこもりを監禁と、それっぽい感じでした。テンポのいい文章はすらすら読めて、テンションが上がってくるところは読んでいて面白いです。ただ、グロいシーンがちょっと個人的に無理。ちょっと気分が悪くなりました。
満足度:C