時をかける少女

見終わってからじわじわと良いものを見たなぁという感じがしてきました。
絶賛されてるのをたくさん見ていて、きっとなにかすごいものなんだろうという先入観を持って見に行ったら拍子抜け。何かがとんでもなく図抜けているというより、綺麗にまとまってるという印象の方が強い作品でした。パワー溢れる大作という感じじゃなくて、きちんと丁寧に作った作品という感じです。少なくとも全国ロードショーより単館公開の方が似つかわしいですし、どちらかというと玄人受けするのも納得。
そう思ったのはたぶん、ものすごくナチュラルだったから。高校生3人の青春模様は「そんな清清しい青春は私の辞書にはありません!」という感じだったのですが、それでも嫌味はなくすごく素直に受け入れられるものでした。その他にも街並みだとか、空気だとか、果てはタイムリープというSFな要素さえ、何か当たり前のように存在してるものとして見れたことがこの感覚を生んでいるのかも。だからこそ、青かった空と、客観的にはほんの少しの間の、けれど真琴には濃密な時間を、彼女が泣いて笑って走って走って時を駆けた様子が、後から後から素敵なものだったなぁと思えるのでしょう。この嫌味の無い澄んだ綺麗さは素晴らしかったと思います。
この真琴の走って泣いて笑ってまた走ってという様は見ていて大変気分が良かったです。何度も時間をやり直しながら、色々な経験を重ねていく様子、そして最後に時間は過ぎ行くけれど大切なものは残るのだと思わせてくれること、何か青春。ただ、原作とのリンク要素は、原作を知らない身としては分かってればもっと楽しめたのにと思うところでした。
繰り返しをうまく使って中盤から後半にかけて面白い構成をしていましたが、ラストの展開はちょっと急かなぁとも思いました。でも、心理の動きとかはすごく上手く流れてて良かったです。繰り返しを多用する演出も面白かった。そして主題歌は素晴らしかったです。この物語のエンディングに歌詞がぴったりでした。
あ、わかった。この作品は褒めるところしか無いんだ。