純真ミラクル100% 1巻 / 秋★枝

純真ミラクル100% (1) (まんがタイムKRコミックス エールシリーズ)

純真ミラクル100% (1) (まんがタイムKRコミックス エールシリーズ)

こっぱずかしいタイトルに負けず劣らず、中身の方もくすぐられているかのようなこっぱずかしさ。でもどこかおっとり落ち着いた空気が流れていて、それが心地よかったりもする不思議な作品でした。
ミュージシャンを目指して上京してきた木村彩乃が、スカウトされた事務所の所長の思いつきで、モクソンという名のアイドル?シンガーとして売り出されてブレイクしたりする話。
芸能界という魑魅魍魎な世界のどろどろとした部分を描きながらも、重苦しくならないのはモクソンの天然おっとりでちょっともっさい性格によるものと、どろどろした部分を隠さない割にさらっと流す作者の感覚によるものな感じ。
そしてさらにそこに、事務所内の人間関係がこじれにこじれそうな恋愛模様を見せていて、モクソン→マネージャー→所長の片思い一方通行は所長が鈍感なだけに救いようがない気もするのですが、そこを丸く収めるために斜め上な発想で乗り切ろうとするモクソンは大物というかなんというか。この辺りも繊細に心情を追いかけて大変くすぐったく素晴らしいのですが、だからと言って暗く重くならないナチュラルな感じがこのマンガの空気なんだなと思います。
キャラクター的には所長の不器用さになんだか惹かれるものが。所長を信じて所長のために飄々と仕事をこなす工藤の気持ちに気付いてあげて、みたいな。あと、モクソンがついつい虐めたくなるというのはおおいに共感するところ。ただそんな気持ちすら越えていくモクソンのおっとり純真ぶりはこれはこれで凄いと思います。そしてそのたびに心労が逆に増える所長の姿も可愛いというかなんというか。
それから、モクソンのパチもんとしてデビューしながらいつの間にか仲良しになっていたオクソンとモクソンの適度にべったりな関係が素敵。170ページには思わず萌えました。
そんな感じに素敵なセンスだなぁと思うことしきりだった一冊。表情豊かな絵も大変好みですし、これは楽しみなマンガが一つ増えました。