紅 kure-nai 3巻 / 片山憲太郎・山本ヤマト

紅kureーnai 3 (ジャンプコミックス)

紅kureーnai 3 (ジャンプコミックス)

原作1巻のクライマックスとなるコミカライズ第3巻。
原作のイラストレイターが手がけているので雰囲気はばっちりで、そこに脚本とコンテ構成が付くことによって、マンガとしての見せ方もハイレベルになっている素敵なコミカライズ作品だと思います。特に山本ヤマトの絵は、目に力があって凄く良いです。
話的には原作1巻クライマックスに当たる、九鳳院に連れ戻された紫を真九郎が助けに向かうという王道展開。叩きのめされたところから、紫の意思を問うために立ち上がる姿、そして紫の助けに呼応して解放する圧倒的な力は、読んでいてヒーローものらしいストレートなカタルシスを与えてくれて良い感じ。
その真九郎を案ずる銀子や夕乃、そして別次元の存在として彼を導く紅香といったキャラクターも魅力的に描かれています。特に九鳳院に向かう真九郎を前にして銀子の見せ涙はグッとくるのもが。
それでも、この作品の中で圧倒的な存在感を放っているのは紫。真九郎にとって、助けを求めてくる姫であり、守るべき子供でもあり、真っ直ぐで物おじしない姿勢から何かを教えてくれる存在であり、彼の弱さを正面から受け止めてくれる母的な存在でもあるという超越的なヒロイン。姿形は7歳でそれ相応の子供らしさも見せるのですが、そういう物を軽く超えたキャラクターだと感じたり。
そしてこの巻の裏注目ポイントは過去に苦しむ真九郎とそれを抱きとめた紫のキスシーン。絵的に色々マズいような気がしつつ、その背徳感込みで特別な神性みたいなものを持ったシーンだと思いました。