魔法先生ネギま! 28巻 / 赤松健

魔法先生ネギま!(28) (講談社コミックス)

魔法先生ネギま!(28) (講談社コミックス)

前巻のネギvsラカンのように盛り上がる展開という訳ではなく、どちらかというと次へのつなぎの印象の強い一冊でしたが、ダレる事無く面白い辺りがさすがだと思いました。
矢継ぎ早に繰り出される新事実、そして新キャラクター、動き出す新しい展開となおも深まっていく謎。ネギの過去を軸にしながら、本当に色々な要素が1つの物語の中に絡まり合ってきていて面白いです。この辺りは、膨大な設定とキャラクターの作り込みがあって、さらにその見せ方が上手いのだと思います。
その中でも特に良かったのが、魔法世界でお世話になった人たちにネギパーティーの面々がお別れを言うシーン。こちらの世界に飛ばされてから、それぞれがそれぞれの物語を生きてきたのだなと感じさせてくれるシーンでした。
そしてバトル展開が少なめだった分恋愛模様が面白いことに。多方面にモテモテな勢いのネギはもう良いとして、この巻では夏美のコタローへの想いがニヤニヤものでした。この二人はお似合いだと思うので、この先の進展にも期待したいところ。そしてこのかと刹那はもう何のためらいもなく完全に百合カップルとして二人の世界を作っていて、これはこれで何だか凄いなと思いました。
他のキャラクターでも、トサカが良い脇役キャラっぷりを発揮していたり、ハルナがもはやバグキャラ的な逞しさを見せていたり、皆が元の姿に戻る中千雨が一人小さいままでいて可愛かったりと色々見どころがありました。
次の巻では、ここまで描いてきた様々な要素が舞踏会という一点に集まってきそうな感じ。これだけのものを捌き切れるのか不安を感じるほどの風呂敷の広げ方だと思うのですが、この作者ならそんな不安を吹き飛ばしてくれると信じて待っていたいと思います。