ベン・トー 8 超大盛りスタミナ弁当クリスマス特別版1250円 / アサウラ

表紙のサンタ帽でケーキを持った槍水先輩からも分かるクリスマスのお話。そしてどこかボーナストラック的なオールスター編、とでも言うべき一冊でした。
前半の茶髪に二つ名がつく話かと思ったら、元気のない白粉先生と勘違い暴走する佐藤を経て白梅様推しだったような話から、後半はサラマンダーの来襲からクリスマスの話まで。これまでのキャラクターがワイワイと登場しながら盛り上がるような一冊でした。なので、何か派手に話が動くという感じではなくおとなしいかとも思ったのですが、よくよく考えると相変わらずやっていることはおかしくて、そのおかしさがあまりにも自然に語られすぎるからか、あまりにも自然に受け入れている自分にびっくり、みたいな。ここまで10冊近く読んできてすっかり洗脳されている感があります。
熱い半額弁当争奪戦に、エキセントリックなキャラクターに、輪をかけてエキセントリックな佐藤の友人周辺エピソードと、このシリーズらしい魅力が詰まっている中でも、今回目立ったのは槍水先輩。クリスマスパーティーをHP部でできなくて拗ねる子供っぽさとか、HP部が賑わっていた過去に縛られているところとか、今まで大人ぶって実際頼れる先輩だった彼女に垣間見えていた弱さが前面に出てきているような感じです。いよいよ二つ名の見えてきた佐藤の成長と併せて描かれているということで、シリーズ的にはひとつターニングポイント的な所でもあるのかなと。
しかしそれにしても気がつけば佐藤は多方面からモテモテで主人公らしいというかなんというか。今回の著莪と先輩への態度を考えるとそっちなのかなとも思いますが、先輩には金城との関係もありますし、あえて穴でオルトロスというところもあって、意外にその方面も楽しみな感じです。しかしヒロインポジションに最初からいたはずの白粉先生が、ちょっと可愛いところを見せつつもはるか遠い地平線へと進化しきっている辺りがなんともはや。まあ、公衆の面前でアレなことを口走るオルトロス姉もそろそろ超えてはいけない一線をうっかり超えてしまいそうではありますが!
ところで話は外れますが、読んでいると脳内でオルトロス田村ゆかり堀江由衣ボイスで喋るので、アニメの印象って凄いのだなと思ったのでした。