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イチゴーイチハチ! 2 / 相田裕

導入だった1巻から作品の方向性が見えてきて、やっぱり私はこれとても好きだと思った2巻でした。
大きな目標に向かって一心不乱に頑張るのではなくて、夢に敗れた者の高校生活の物語。キラキラしているのではなくて、どこか古い校舎のすえた匂いが漂ってきそうな空気感のあるこれは、けれどこの上なく素敵な青春の物語だと思うのです。
お祭り好きな松武の校風と、その生徒会としての仕事。怪我で野球の道を閉ざされた少年と、昔彼の姿に惹かれた少女。賑やかなだけどどこかダウなーな空気の中で描かれるものは彼にとっての救いと再生であり、彼女にとってはそれでも頑張っている彼を笑顔にしたい気持ち。それが新歓マラソン大会というなんてことのない、けれど参加する生徒たちにとっては大きなイベントで走る二人の姿でそれぞれ描かれるのがとても良いなと。
先輩にも言われたようにまだ恋に届かない子供な幸と、そういうものとは無縁に生きてきただろう烏谷の関係も含めて、彼と彼女のこれからどうなっていくのか大切に見守りたい気持ちにさせてくれる、優しい作品だと思います。とても良かったです。