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トリックスターズ / 久住四季

感想 ☆☆☆☆☆

あの頃の電撃文庫で好きなシリーズをと問われたら絶対に挙げるであろうシリーズが10年の時を経てメディアワークス文庫で復刊、加筆改稿ありということで是非もなく手に取りました。
同時に刊行のLも合わせて読んだのですが、やっぱりこのシリーズはすごく好きだなあと。キャラクターとか、雰囲気とか、文章とか、そういう部分がとても合う、やっぱり久住四季作品は好きだと再確認できてとても嬉しく思いました。
中身の方は正直、真犯人と最後の謎以外は忘れている部分が多すぎてかなり新鮮な気持ちで読めた反面、どの当たりが加筆なのかわからなかったり。少なくとも佐杏先生の性別は男になっているのですが、この超越者の場合性別なんて関係ないということを思い知る驚きのノー違和感でした。
話としてはミステリを模ったトリックスターたちの物語、というのが全てを表しているかと。魔術というものが存在する世界においての犯罪と推理というものをミステリとして描きながら、実のところ、魔術と詐術、魔術師と詐欺師の物語であるという。
第一作に当たるこの作品は冒頭に7つの謎が隠されているという挑戦状がついていますが、この7つの謎は事件における全てではない、むしろ事件を中心にした構造として仕掛けられているもの。中には若干強引なところもありますが、何かの詐術でのおかしな所が別の何かの詐術の鍵になったりという複合的に組み立てられた仕掛けがとても面白い、まさにトリックスターたちに翻弄される一冊でした。
ちなみに二作目のLは嵐の山荘をモチーフにしながらやっぱり魔術師と詐欺師の物語なのですが、これは仕掛けのために主人公たちが違和感のある方向へ強引に誘導されている感があって、ちょっとどうかなあと思ったのは電撃文庫版を読んだ当時と変わらず。ただやっぱりこのLで一番の詐欺は、一作目で明かされるある謎がまるで何もなかったかのように描かれることで、もしLから手にとった人がいるとすると全く別の話を見ていることになるという部分かなと思いますが!
そんな感じもありつつ、10年半ぶりの再読でもやっぱり私はこのシリーズが好きだなと、むしろ昔読んだ時よりも更に好きになっているなと思った今回の復刊。既刊6冊は全て復刊が決まっているとのことで、できるならばあの頃望んでも読むことができなかった第二部がその先に刊行されることを願っています。だって、魔術師の物語はあそこからでしょうと。