神様のメモ帳 9 / 杉井光
最終巻が出るまでに3年の間が開いて、そこから私が更に4年寝かせてしまって、もう7年ぶりに神メモを読んだということになるのですが、読み出すとそうそう、こういう奴らの、こういう空気の話だったなあとすぐに思い出せました。
ヒモやらヤクザやらニート探偵やら、社会の枠組みからはみ出した奴らが、痛みの中で手を重ね合って生きていくような、そういう物語。ああ、この痛みの感覚が、神様のメモ帳という作品だったなあと。
ニート探偵は死者の代弁者として事件を解決してきたけれど、最終巻は彼女自身の出自に絡む事件になり、彼女は重要な事件関係者となるから、外側の人間としてその痛みを引き受けるのは、当然ナルミの役目になる訳で。相変わらずの追い込まれてからの大ペテンに、ナルミ君詐欺師として仕上がり過ぎではという感じがしてならなかったですが、そうまでしても自分自身の気持ちとして、アリスを連れ戻しに行く姿が良かったです。
紫苑寺家の事件は狂った一族の織りなすちょっともうあんまりな話ではあるのですが、それでも、別れのその先にまだ二人が歩めるだけの時間と空間があったことに、安堵した最終巻でした。