ビブリア古書堂の事件手帖 3 〜栞子さんと消えない絆〜 / 三上延

ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)

最新刊が一番面白くて、さすがベストセラーで勢いのあるシリーズと思う一冊でした。
古書に関わる3つの事件も、そこに関わる栞子さんと五浦のキャラクターも、影のようにけれどどんどんしっかりとしたものとして見えてくる栞子さんの母の姿も、決して嫌味だったりくどくはならずに、とにかくスマートで上品で、でもちゃんと面白いというのが絶妙なバランスだと思います。すごく読みやすくて、小奇麗だけど地味じゃない、みたいな。そして、そういう雰囲気を持った作品の中心が古書とそれに関わる人々の話というのがまたツボをついている感じです。
今回描かれる三つの事件も、今までと同じようにただ謎が解決して良かったということではなく苦味を残すようなところがあって、ただ、その苦さの中で、同じように本にまつわる謎を解いていた母と栞子さんの姿が一層重なってくるところが、栞子さんと母親の関係と、栞子さん自身のどこか不安定な危うさを今まで以上にはっきりしたものにしているような印象。
このシリーズの大きな物語としては、やっぱり母親と娘の話であって、非常によく似ていて、だからこそなのか母親を嫌う栞子さんが、どう母と向き合っていくのかというのが大きなテーマなのかなと思います。そして、そのテーマに対して、母親に縁のあった人たちがたくさん出てきたあと、最後の最後でそこが繋がってくるのかというのがちょっと不意をつかれたような感じ。
そんな感じで面白く読めて、次の巻も安心して面白いのだろうと思える一冊でした。次も楽しみ。