進撃の巨人 25 / 諫山創

 

 この作品が単純な人類vs巨人の構図ではないことが明かされたのだから、遅かれ早かれこうなるだろうとは分かっていたのですが、まさに戦争の始まりという巻でした。

どちらかだけに理があるのではなく、それぞれがそれぞれ生き残るためにぶつかりあう。タイバー家がマーレに明かした真実とパラディ島への宣戦布告を一つの正義だと認識した上で、敵を駆逐するまでは止まれないと強襲を仕掛けたエレンが一線を踏み越したのは、かつて巻き込まれた彼が住民や子供を巻き込んだことからも明らかで、これはもう巨大な脅威に対する少年の復讐譚では無いのだなと。お互いに共存ができない者たちが、憎しみで憎しみを繋いでいくような戦争には救いがなく、話がより重くなったように思います。

エレンの登場から張り詰めた緊張感のまま、演説をバックにしたライナーとの対話からの襲撃、そして真っ黒な服を纏った調査兵団の立体機動という力が島の外でふるわれるさまは息を呑むものがありました。いや、凄かった。