虚構推理 8 / 城平京・片瀬茶柴
ここまでの虚構推理はミステリのルールを逆手に取るようなトリッキーな作品だったのですが、今回収録された「電撃のピノッキオ、あるいは星に願いを」はあとがきでも触れられていますがかなりオーソドックス。電撃を放つ人形という怪異が何故生み出されたのか、そして真の目的は何であるのかに、琴子と九郎が挑むという伝奇アクションミステリになっています。普通はこれを1巻で導入エピソードとしてやるのでは、と思ったりもしますが、ただここまでにキャラクターが確立しているからこその面白さは当然ある訳で。
そんな感じに、相変わらず強烈な琴子のキャラクターと2人の関係性。そしてこちらもなかなかのキャラクターを持った多恵婆さんに、そんなんありかよな怪異の存在、そしていつものように九郎先輩が死ぬアクションシーンからの、なるほどと思わされる事態の真相まで、バランスよくこの作品らしい一冊です。面白かった。