やがて君になる 7 / 仲谷鳰

 

「私を見くびらないで。

知ってるわ、あなたのことなんて」

 6巻の生徒会劇、侑が働きかけた脚本を演じたことを通じて燈子が燈子であることを始めたその瞬間に、この作品のカードは全部出揃って、ここからはそれがあるべきところ、タイトルである「やがて君になる」へと収束していく。そういう話だと思います。

ですが、そんなある程度の予想がつくところであっても、流石のキレというか、驚きの解像度で描かれていく、変わっていく燈子、侑、そして沙弥香の姿は本当に素晴らしかったです。シンプルでクリアで切れ味鋭い感じ、なんというか名刀って感じで凄い。

そしてやはりこの巻は佐伯沙弥香に尽きると思います。物語の流れからしたら何をどうやっても、沙弥香が選ばれることはないことまでは分かってた。でも、沙弥香の告白が燈子の意識を変えて、それが侑に向かうってこの残酷さは本当にね……。遅かったこともきっと分かっていて、いつまでも動かなかった自分の事も分かっていて、それでも言葉にすることを選んだ、それが佐伯沙弥香。

この一連の流れの行動も、言葉も、本当に佐伯沙弥香が120%佐伯沙弥香で、ああやっぱり好きなキャラクターだなと思うのです。そして過去に弄ばれた彼女の気持ちが、選ばれなかったとはいえ、燈子にはきちんと届いたということに、スピンオフを読んだ身としては救われるものを感じたのでした。