涼宮ハルヒの退屈 / 谷川流

涼宮ハルヒの退屈 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの退屈 (角川スニーカー文庫)

短編集。2冊目より時間軸的に前らしいので、こちらから読みました。短編集らしく、キャラクターと設定を使って目一杯遊んでる感じです。もともと、そういう傾向の強い感じはするんですけどね。設定は目一杯大風呂敷で面白そうな要素を並べて、キャラは力いっぱい記号的な狙いにきたキャラクター達で、それがなんだかわからない騒動を起こす。2冊読んだ時点でのハルヒの感想はそんなところです。この構造って、完全にユートピア系の学園物なんですよね。身に降りかかる不可思議な現象にキョンは困ったようにしてますけど、この話を読んだ人はこんなぬるいけど楽しい学園生活を過ごしたいなと思うんじゃないでしょうか。そしてポイントなのは、文章がずっと一人称で書かれてること。小説なんですが、こういう文章だとすごくエッセイっぽいです。このエッセイっぽい文章が、キョンへの感情移入を容易にしてるような気もします。時々あるキョンのモノローグを他の登場人物が読んでるかのような文章は、少し違和感がありますが。小説って言うより、非日常エッセイ(ユートピアエッセイでも妄想エッセイでもいいですが)って言うのがこのシリーズな気がします。残りを読まないと確かな事はいえませんけど。
話としては相変わらずハルヒではなくて、キョンに変な事件が降りかかるって方向で進んでいきます。どうも、ハルヒの望んだ変なことは、ハルヒが芯のところで常識的なために、自分へ降りかからず、キョンに降りかかるって言う構造をしてるらしいです。そういう意味でキョンハルヒにとってのカギなのかな。ハルヒはあくまで変なことの脇役で、主役をやらせられる人物っていう意味でのカギ。まぁ、宇宙人だの未来人だのの細かい設定はどうしたものかというほどに訳わからないですが。
そんなことより長門さんLOVEです(次点、古泉くん)。ああまで記号的なキャラにしてやられてしまうとは…。まったく困ったものです。