- 作者: 桜庭一樹,高野音彦
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2004/09
- メディア: 文庫
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盗んだバイクで走り出したのも15の夜だったなぁと思ったりする、15歳少女の逃避行。感覚は何となく現代的だけど、どことなく普遍的に、限りなく思春期。これがホントにGOSICKとおんなじ人の小説かと思うくらいに、文の雰囲気が違います。限りなく透明で、繊細で触れたら壊れそうな感じ。でも、どことなく漂う気持ち悪さ。大人の世界と子供の世界をクロスさせて、夢だか現だかわからない逃避行が展開します。結局話のほうは投げっぱなしぎみな終わり方ですが、この場合それは主題ではないので問題なし。投げかけられた疑問は答えが出ない性格のものなのでしょうがなく。ストーリーに紡ぎだされる、15歳の感覚が不可思議にリアルです。結局、結論は逃げるなという事でしょうか。
それにしても、私にはこういう思春期的な経験がありません。この頃は何も考え無しにひたすら子供だった気がします。その意味で、私がこれを「あー、リアル」っていう読み方をできるハズが無いのですが・・・。むしろあるべきだった感情の追体験。透明な雰囲気の中の気持ちの悪さは、それゆえの気持ち悪さか。千と千尋より年上で、西尾作品より年下な小説。そんな印象でした。ただ、あわない人は何も面白くないだろうなぁ。私も、エンターテイメント的な意味でこの小説が面白いとは思いませんし。