ちーちゃんは悠久の向こう / 日日日

ちーちゃんは悠久の向こう (新風舎文庫)

ちーちゃんは悠久の向こう (新風舎文庫)

ライトノベルじゃなくてファウスト直系な気がします。
文体的には西尾維新を大分おとなしくした感じ。文章としてまとまりすぎてて、もうちょっと砕けた感じでもいいかなと思います。話は砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない×ファウスト系みたいな感じ。若い。青い。
主要な登場人物の2人、歌島千草と久野悠斗は最初から終わりきっています。日常という現実を全面から否定して幽霊と言う非日常を追い求めるちーちゃんは、現実を見失い日常を見失い堕ちてゆき、虐待という日常の中で諦念にまみれて自分を殺し続けるモンちゃんには何もすることができない。そんな2人の日常が当たり前のように崩れていくストーリー。幻想を求め続ける社会不適合者と、無力ゆえに現実への関与を拒否する社会的疎外者のゆく末に明るい未来があるわけも無いのですが。とりあえず読んでる間はいやーな崩壊感覚が存分に感じられます。
気になったのはラスト。宙ぶらりんで投げ出されたような気がしてならないので、結局どんな事が言いたい話だったのかが良く分かりません。何も終了してないし、何も解決してないし、何も成長してない状態でエンドマークを付けられても。
あと、個人的には林田遊子の言う事が良く分かるなぁと。幻想の持つ魅力は分かっても、現実で生きて生きたい私としては、分かってしまうからこそ困るのです。
なかなか面白いし良く出来てるとは思うけど、いまいちしっくり来ない感じもするので、この人の他の作品も読みたいってほどじゃないかな。
満足度:C