あらゆる場所に花束が…… / 中原昌也

あらゆる場所に花束が… (新潮文庫)

あらゆる場所に花束が… (新潮文庫)

三島由紀夫賞受賞作。
なんですが、正直何がなにやらわかりません。何がすごいのかわかりません。なんだこれ?という感想も不勉強からくるのならごめんなさいですが、そういう問題なのでしょうか、これ。そういう問題ならごめんなさい。
暴力と肉欲と狂気をパック詰めしたような文章群が少しづつ並んでいる感じ。視点と場面はころころ変わるのですが、結局一本話の筋が見えないのでなにがなんだか分かりません。それぞれを見ても全体を見ても急に始まってぶちっと終わるし。文章の雰囲気が変わらないので、断裂した印象は受けませんけどそれにしても意味はわからないです。重要な要素に見えたものは肩透かしのように忘れられ、なんとなく全体を包む空気が繋ぎとめてるような。文章的にも後から後から情報が増えていくのが読みにくいです。
勢いに任せて一気に書いちゃった感があるのですが、あとがきによると執筆に一年三ヶ月かかってるようなので、色々考えられて書かれてるのかも。
はぁ?と思いつつなんか読めてしまうあたり、この小説にはある種の何かがあるのかもしれません。一般的な価値を一切振り切っちゃったような、こういう小説もあるのかということでとりあえず納得。
満足度:D