円環少女② 煉獄の虚神(上) / 長谷敏司

円環少女 (2) 煉獄の虚神(上) (角川スニーカー文庫)

円環少女 (2) 煉獄の虚神(上) (角川スニーカー文庫)

早く下巻が読みたいです。
待ちに待った円環少女の2巻。相変わらず濃密な世界設定と、濃厚なストーリーで面白いです。魔法体系の設定は相変わらず難解ですが、なんとなく読んで何となくすごいと思ってれば楽しめるような気もします。ストーリーの方はメイゼルと仁の出会いのエピソードから、それに関わってくる大きな話へと繋がってきます。《神に近きもの》相似魔導師グラン・アザレイが協会を相手に己の正義を貫くため一人で戦争を起こし、それに専任係官から刻印魔導師たち、さらにはグランの捨てられた双子の弟であり現在は犯罪魔導師として追われる浅利ケイツまでを巻き込んで、さぁどうなるというところで上巻は終わり。この広がった話をどうまとめてくるかに期待大です。
キャラクター達がそれぞれに信念を持って闘っていて、それ故に争いうのがなんとも。特に刻印魔導師という過酷な運命に晒された浅利ケイツや《人形師》のメイゼルに対する感情、仮初の家族と学生生活の中で守られる立場のメイゼルの仁への想いと魔導師としての誇りと刻印魔導師としての決意、それを何とか守ろうとする仁などの想いが重なる様は切ないです。魔導師にとってこの世界が地獄であり、刻印魔導師という運命にあまりに救いがなくても、どこかでハッピーエンドがあると良いと思います。
地の文のメイゼルの描写がなんというか少女好きを増やしそうな部分が多々あるのはどうかと思いますが、サド嗜好を持った小学生というキャラクターはやっぱり魅力的です。あと《鬼火》が格好良いです。個人的にはケイツに何とか報われて欲しいところ。
満足度:A