- 作者: 竹宮ゆゆこ,ヤス
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2006/03/25
- メディア: 文庫
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わたしたちの田村くんでは田村君のうじうじ一人語りと突飛過ぎる行動に置いてきぼりをくったのですが、これは文章が3人称である程度距離感があるのでちょうど良く感じられたのも大きいかもしれません。
しかしまぁなんて面白いんでしょうか。適度にお約束な展開と、記号なだけじゃなくしっかり肉付けされたキャラクター、そしてノリのいい文体。あと何より、著者が温かい視線で、この二人が悩んだり失敗したりしつつ頑張ってるのを見守ってるのが読んでいて気持ち良いです。
大河のワガママで傍若無人だけどドジだったり傷つきやすかったりするキャラもいいし、竜児も真っ直ぐな性格をしていて好印象。やっちゃんやインコみたいな脇キャラもいい味出してます。主役が二人ともきっちりと描かれてることが、この二人の関係を素敵にしてるんだと思いました。多分これは大河視点で書いても面白いんじゃないかなぁと。
そして大河の片想いを成就させるために二人で色々やってるうちに、お互いに特別な感情が芽生えてくるストーリーがまた素敵。優しすぎる竜児や甘えすぎる大河にはもっときちっとしろと思ったりもしますが、その辺はまぁ許される範囲。しかしラストページがいいなぁもう。
あと、こういう文体は女性作家特有な気がします。私の知ってる範囲の話ですが。
満足度:A