AIR vol.6

AIR 6 通常版 [DVD]

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往人が退場してからの展開は、完全に血の繋がらない母と娘の物語。血が繋がらないが故に、いつか離れることを恐れ距離をとってきた母娘が心を通わせともに難病に立ち向かうという、これだけで一本のアニメになりそうな話だっただけに若干駆け足展開な気もしました。観鈴を引き取りにきた実の父親が単なる障害としてしか描かれなかったのは、もう少しフォローして欲しかったかも。
そして最終話は「もうゴールしてもいいよね」。ずっと一人だった少女が、往人と出会い、ともに過ごし、夢を見て病んで、そして母と過ごした夏は、観鈴にとって本当に幸せだったのだろうけど、これで良かったのかなぁとちょっとしんみりした気分に。挿入歌が良かったです。
全体的として、豪快な設定と強引な展開が目立ったように感じましたが、それでもそれを気にさせない位の魅力のある物語だったと思います。
そして、恋愛ゲームが原作でありながら、テーマはやっぱり家族だったんだろうなぁと。姉と妹、母と姉と死んだはずの妹、囚われの姫と従者による擬似家族、そして血の繋がらない母と娘。どれも綺麗な形の家族ではありませんが、描こうとしたのはそれだからこそ強く輝く家族の繋がりなのかなと思いました。だから、恋愛要素はあまり感じられなかったです。往人は晴子とくっついた方が自然だなぁと。柳也の相手は裏葉だったように。ただ、そこで観鈴や神奈との間に微妙に恋愛じみた感情が混じっているのが、そういうものだと思おうとしても何となく不思議な感じではありました。微妙な違和感。
あと、視点の転換は、往人が主人公でなければならないからこうなったのか、最初からこういうつもりだったのかちょっと気になりました。この物語は完全に最初から第三者視点で描かれるべき気がしたので。それでも誰かの視点に合わせるなら、往人よりも主人公は観鈴という気がします。他の女の子に関わる話にしても、往人は介入して物事を進ませる存在という感じがしたので、ここまで観鈴の物語として踏み込むなら、視点は観鈴のほうにあるべきかなと。そらの存在も、最後のメタっぽい語りくらいにしか意味を持ってるようには思えないですし。ただ、これはこれでハマっているような気もして、何か妙な感じもするようなそんな構成でした。