紅 〜醜悪祭〜(上) / 片山憲太郎

久しぶりな紅新刊。
とはいえ上巻ということで、さぁここからどうなる!というところで下巻へ続く。そういう訳で、内容的には日常描写の方にボリュームが割かれています。
そんな日常では真九郎が相変わらずのモテまくりで美味しいイベント盛りだくさん。紫は相変わらず真九郎にべったりだし、夕乃は隠す気などさらさらない好意を駄々漏れにさせ、銀子は積極的ではないものの心地よい距離感を提供、そして五月雨荘のお姉さんたちからも可愛がられているとかどれだけモテるんだと。
個人的には夕乃とくっつくのがベストかと思いながら、銀子という線も捨てがたいと思っているのですが、真九郎が全くその辺りに目を向けないのでさっぱり進展しません。というより、さすがにこれだけの好意を向けられながら意識が紫に行きっぱなしというのは、子供好きとか鈍感とか優しいとかいうレベルじゃなくて、真性のロリコンなんじゃなかろうかという気も。今回の依頼も、依頼者が6歳だから受けたような節があるようなないような気もしますし……。
まぁ、それは良いとして事件の方は姉探しという小さな芽から《弧人要塞》の登場で一変。それが柔沢紅香が死んだという話に絡んできて、何やら大事になりそうな予感。紅香が素直に死んでいるわけがないとか、《孤人要塞》の化け物っぷりとか、いろいろ興味を惹く要素がありながら下巻待ち。なるべくなら、間をおかずに出して欲しいところです。
しかし、この作者の考える事件はどうしてこんなに気分を害する類のものが多いのでしょう。メインの事件としてではなく、それがさらっと伝聞形で出てくるから尚更。
満足度:B+