純真ミラクル100% vol.4 / 秋★枝

純真ミラクル100% (4) (まんがタイムKRコミックス エールシリーズ)

純真ミラクル100% (4) (まんがタイムKRコミックス エールシリーズ)

系列のオフィスTからモクソンを引き抜くために、まずはオクソンの引き抜きにかかった末澤。そんな芸能事務所の裏側的なドロドロ劇と一緒に、末澤や高杉たちの人間関係も捻れていくような第4巻。
本社の指示で系列の事務所から今売れっ子なモクソンを引き抜いてくる。その系列の事務所は、いまやモクソンの人気を大黒柱にしていて、そしてその所長はかつての同僚にして親友が勤めている。そんな、辛い仕事にとりかかった末澤の姿が痛々しくて、呼んでいて辛くなるような一冊でした。
なまじ仕事が出来るばかりに、人の気持ちを分かった上で自分の都合の良い方向にコントロールできて、でもそれが関係を引き裂くことだと分かってもいるから罪悪感を押し殺す。そしてモクソン引き抜きのために、親友の事務所を潰すようなやり方にも手を染める。そんな彼女の姿は、自分で自分を追い込んで、自らも周りの大切な人達も全部あわせて壊そうとする自傷のようで、本当に哀しく映ります。
誰よりも信頼する高杉を裏切り、自分の後輩だった工藤にも完全な敵対宣言をされて、そのことに何も感じていないわけがないのに、それでもまだ尊敬しているなんていう言葉を彼女がどう受け止めるのか。高杉を支えようと工藤がするように、誰かが彼女を助けてあげれないと、きっとみんな不幸せになってしまうんじゃないかと、そんな心配をしてしまう展開。
そんな大人たちの群像劇とは別に、事務所は離れても続いていくモクソンとオクソンの関係はキナ臭い物語の中に優しさを感じられて良い感じ。彼女たちの真っ直ぐさと、モクソンを支えようとする二宮や事務所の面々の温かさもあって、物語は柔らかさと前向きさを得ているように感じるのですが、順風満帆に見えた中でのラストの急展開には不吉な予感も感じます。音楽をやることの意味が少しづつ変わっていくモクソンを支えられるのは、きっと二宮しかいないはずだからこの先頑張って欲しいなと、そんなことも思った一冊でした。