イエスタデイをうたって vol.7 / 冬目景

イエスタデイをうたって 7 (ヤングジャンプコミックス)

イエスタデイをうたって 7 (ヤングジャンプコミックス)

一歩手前でぐるぐると、終わらないモラトリアムのように続いてきた関係が、ようやく、ようやく動き始めました。
ようやくお互いに向きあって新しい関係へと進み始めたリクオと〓子ですが、二人がかなりのヘタレと鈍感なものだからなんというか、こう、読んでいる方が身悶えするような感じ。一応付き合い始めたものの、微妙な関係の変化はあれど劇的な動きがない分、逆にその中で二人の間にある微妙な気持ちの動きやぎこちない空気が繊細に描かれていて精神的にやばいです。何してんのお前らいくつだよ! 的な何か。
そんな二人はゆっくりと進んでいけば良いとも思うのですが、報われないのはハルと浪の片想い組。元より勝ち目は少ないと思いながら、不器用に片想いを続けてきて、それぞれの相手が付き合いだしてと、それだけでも報われないと思うのですが、それ以上にそのことを二人から知らされないというのがなんとも。というか想われているのを知っているのに、色々悩んでとりあえず先延ばしにするリクオと〓子が残酷すぎます……。最後のシーン、リクオが〓子と付き合いだしたこと、結局リクオからは切り出せず気がついたハルの方から確かめさせる辺りではもう「うわああああああ」と。全部分かっていて始まった関係とはいえ、こうなるとなんだかもう不憫で仕方ないのですが、ハルがこの先報われる目はあるのでしょうか……。
そんな感じに、恋愛に対してどこか臆病で後ろ向きな人たちの物語は停滞しながらもようやく動き始めて、そしてどこへ向かっていくのか。この引きでまた2年近く待たされるというのが辛いところですが、本当に先の気になる作品だと思います。
そして、個人的にハルはもの凄く好きなキャラクターなので何とかして幸せになってもらいたいところです。むしろ幸せになれなかったらどうしてくれようとも思うほどなのですが、正直どうやっても明るい結末が見えなくてなんとも。雨宮の強烈なアタックを受けていて、今回のショックでそっちに傾くことも考えられなくはなくても、でも私が好きなのは周回遅れと知りながらリクオのことを追いかけているハルなんです……。