大日本サムライガール 2 / 至道流星

大日本サムライガール 2 (星海社FICTIONS)

大日本サムライガール 2 (星海社FICTIONS)

2巻は日毬の起こしたアステッドプロ襲撃事件の後始末とひまりプロダクションの新アイドル募集オーディション。日毬の起こした事件は、逆に日毬をアイドルの枠に留まらない知名度を持ったスターへと押し上げていくわけですが、話はそちらへ進まずに新人アイドル守銭奴アイドル千歳を新たにプロダクションへ迎え入れる話になっていきます。
このお嬢様然とした千歳が、なんでもやるだの体を売るだのまで言ってなりふり構わずお金を稼ごうとしているのにはそれなりに理由があって、そこに颯斗が首を突っ込んでいくという形で、話は千歳の父親の会社であるステッチラインの再建をめぐる物語へ。経済ネタは得意の作者なので、この辺りの展開は面白いのですが、ただ若干話の毛色が変わって戸惑う部分もあったり。
日毬を中心とした革命の話担っていくのかとおもいきや、アイドルプロダクション稼業の話でもあって、それに伴わず経営コンサルタント的なところにも首を突っ込むとなると、さすがに話が分散しているような印象を受けます。この辺は多分颯斗というキャラクターが向いてる方向がまさ定まっていないからなのかなという感じ。
もともと日毬の目標である天下取りと颯斗の提示した方法であるアイドル稼業は必ずしも向いている方向が一致していなくて、しかもなまじ超有能なばかりにあちらにこちらに首を突っ込むものだから、この人は何をやりたいのだろうとなるのかなと。この辺は対親父という部分含めて、颯斗の物語としてのテーマになっていくのかもしれません。
相変わらず何もかもが上手く行きすぎていてどうなのだろうと思わなくも無いですが、そのあたりは突き進んでいくスピード感が魅力なのでこれで良いのかなとも。何より予測不能なそのスピードでどこに連れて行ってくれるのか、続きが楽しみなシリーズです。