楽園追放-Expelled from Paradise-

初めは特に行くつもりはなかったのですが、周りの評判がえらく高いので観に行ってきました楽園追放。水島精二×虚淵玄で、フルCGながらセルルックというアニメ。
とりあえず何も考えないで面白かったー! と言って映画館を出てこられるようなアニメでした。新しさだとか、高尚なものだとか、メッセージ性だとか、そういうものは置いておいてエンタメに徹したような作品だなあと。とにかく、こういうの好き! こういうのかっこいい! みたいなものを衒いもなく全部載せしてきているような印象。そしてそれが実にオタクっぽい(しかもかなり古い感じの)なので、ちょっと露骨過ぎて鼻につくところも割とというか、結構あるのですが、一般受けとか上品さとかオシャレさとかを考えないで、とにかく僕の考えた最強のSF的な方向に突き抜けたのが清々しかったと思います。まさにオタクのロマンで作られた映画という感じ。なのでハマる人以外から見たらツッコまれそうというか怒られそうだけど、ハマる人が見れば 可愛い! エロい! カッコいい! 燃える! 萌える! 楽しい!! ってなれるような。
ストーリー展開はかなり圧縮気味で、そのせいか息をつかせないジェットコースタームービーという印象。ディーバと呼ばれる電脳空間に進化の方向性を求めた人類の代表としてアンジェラ。荒廃した地球に残った人類の代表としてディンゴ。そしてもう一人ディーバにハッキングを仕掛け謎の存在としてフロンティアセッターのほぼ三人で話が進んでいく感じですが、この三者の話に絞った分いろいろ濃くなっているように思います。キャラクター的にはアンジェラがくぎゅマジくぎゅとしか言いようのないツンデレで、ディンゴ三木眞一郎といった感じ。何をベタなと思いつつも、まあ可愛いしカッコいいと思うのです。アンジェラはまず見た目を少女にする理屈の鮮やかさに笑った後、地上に来たら服を買うべきじゃないかなとか思いましたが! あとネタバレになるので詳しくは書けませんが、おちゃめなフロンティアセッターのキャラがすごくツボでした。ああいうのに弱いです。素敵。
そしてセルルック3DCGにセルアニメ的な手法をがっつりと取り入れた感じの映像は未来を感じさせる説得力十分でした。リアル系のCGではなくて、セルアニメの表現がCGになっていて、でも3Dだからアクションシーンはとんでもない速度でぐいんぐいん動くよ! みたいな。シドニアなんかの3Dとはまたちょっと違うテイストで、こういう映像表現がこれからどんどん見れるというのなら、それはちょっと楽しみだなあと思います。
そんな感じのスパッとエンタメだけど、でも人は選びそうで、今っぽさはないけど、でも最新技術だよという映画でした。とはいえ見ている最中も見終わった後も、単純に面白い! と思える作品なので、とりあえず気になっている人は見ればいいんじゃないかと思います。きっと損はしないはず。