NHKにようこそ! 2巻 / 滝本竜彦・大岩ケンヂ

NHKにようこそ! (2) (角川コミックス・エース)

NHKにようこそ! (2) (角川コミックス・エース)

サークルでいろんな人に見せたらいろんな反応が帰ってきましたが、私としては絶賛しておきます。すごい。すばらしい。
以下ネタばれするかも。
げんしけんなどと同じオタク漫画の系統として数えられるのかもしれませんが、オタクというよりはダメ人間。ダメ人間を書いてたらオタクがくっついてきたというのが正しいのかも。引きこもりに関しては、主人公がメンタル的に引きこもりっぽいです。とにかく登場人物の救いのないダメ人間っぷりがすごい。そしてそのダメな感じが持ってる、どうしようもないリアリティが痛い。主人公の佐藤君は必死に親に嘘をつき、部屋にこもってエロゲの制作をし、傷つくのを恐れてさらにひきこもり、先輩に誘われてフラフラついていった先はネット集団自殺でといった有様。ヒロインの岬はまともな子かと思いきや、ダメな自分よりダメな人間を手元に置いて安心したくて佐藤君にちょっかいを出し、自分は引きこもりを助ける天使なんだと自称しだすし、隣人の山崎はどっぷりオタクで、人生を諦観し、3次元の女なんかクズだといいながら女の子に誘われれば浮かれ気分でホイホイついて行くし、先輩は薬にどっぷりで脳が解けてて、後輩を自殺オフ会に誘い、そのくせ自分だけはきっちり幸せになって後輩はほったらかし。まぁ、どの登場人物も絵的に綺麗に描かれていなかったら見れたもんじゃない状況。この状況でこの登場人物たちが織り成すあまりにも痛々しい話を、自虐系なハイテンションギャグを交えてマンガにしてます。そしてこの強烈な吸引力。臨界点を超えた暴走っぷりの危うい魅力。そんなことより何より、ダメ人間達に時に共感し、時に見下して笑い飛ばしながら、自分はまだまだ大丈夫と思うことのできる構図。よくよく考えればこれは岬のポジションを拡張しただけで、結局読んでる私までダメ人間の列に引き寄せられてるんですが、もうどうしようもない。にべもない。結局そんな自分まで含めて笑い飛ばすしかない構造が、自虐的にたまらないのかもしれません。
シャープな感じの絵も個人的に好み。GOTHの頃からこの人の絵は良いです。それから間の4コマが面白いです。