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はたらく魔王さま! 13 / 和ケ原聡司

感想 ☆☆☆☆

はたらく魔王さま! (13) (電撃文庫)

はたらく魔王さま! (13) (電撃文庫)

もう何度目かわからないちーちゃん凄いな……が待っていた13巻。芦屋に対する梨香は、人間と魔族の間の埋められないものと恋の物語として、優しすぎる芦屋が逆に残酷すぎて嗚呼となるところはありつつも、良いものだったのですが、真奥と恵美の変化していく関係に散々悩んで嫉妬してうじうじしていたところからそんなものを軽く飛び越えていく千穂の強さといったら。ライラの家に向かう中での真奥とのやりとりは、本当にこの子は器が違うわと思わされるエピソードでした。
とそんなお話もありつつも、ライラを鍵にした形でのエンテ・イスラという世界の危機、そして日本での騒がしい日常と変化していく人間関係、勇者と大天使の母娘の埋まらない溝と相変わらずの盛りだくさん具合。そんな中で語られるエンテ・イスラ事情はライラのプレゼンという形で完全に設定語りに入っているのはどうなのだろうと思っていたのですが、最後まで読んだらそれもまたチラ見せというか、ちょっと出しだったのかと納得しました。
というか、巻を重ねるごとに大きくなる話の規模に、この作者はもしかして設定を作りこむタイプの人なのかなと。だとするとこの膨大な設定を背景にしながら、思い切り描く範囲を絞り込んだ上で勇者-魔王モノのパロディとして仕上げていた1巻ってなにげに凄いことやっていたんじゃないかなあと今さらになって思ったりします。
そして設定がこれだけあって、キャラがこれだけ出ていて、それでいて一人ずつの心の動きだとか庶民っぽい生活事情だとかを丁寧に丁寧に拾いに行くスタイルは、やっぱり話が拡散するし、もはや1冊の中でも何の話をしているのかわからなくなるところもあるのですが、ここまでやるのならたとえ何巻かかっても何も捨てずに全部書き切っちゃうのを期待したいなと思いました。