嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん11 ××の彼方は愛 (電撃文庫)
- 作者: 入間人間,左
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/06/09
- メディア: 文庫
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「……一度壊れたものはどうやっても直らない。残骸を積み重ねて生きていくんだ」
この言葉がこのお話の全てで、みーまーというシリーズの全てで、そして入間作品の根底に共通するものなんだと思います。そして私は、こういう取り返しのつかなくなった人たちが、取り返しがつかなくなった後を生きていく物語が好きなんだなと。
入間人間デビュー10周年記念作品はまさかのみーまー11巻。もともと10巻で完結した作品の続きということで、代替わりしてみーくんまーちゃんの子供(!)から先のお話になっているのですが、これもまた残骸を積み重ねて生きていく続きということで、完結したと言っても10巻であの二人のすべてが終わった訳ではないんだと思いました。取り返しがつかなくなった先にも、彼ら彼女らはこうやって生きて、繋いでいくんだって。
後は本当にもう何を言えばいいんですかね、これ。父親に似た姉様と母親に似た妹。本当は母親に似た姉と父親に似た妹。ああ、確かに彼らの子供なんだなと思う下の世代もまた、繰り返すかのように胸糞悪くなるばかりの事件の当事者となって、壊れて、そしてまた続いていく。入間人間らしい仕掛けの先に浮かび上がってくる真実は、ただただ最低としか言い様がなくて、それでも。
ラストシーン、ぶっ壊れた家族の一家大集合。許されない事件は許されるものではなく、壊れたものが都合よく直ることなどなく、けれど積み重ねた残骸の上にこの景色があるのなら、それはどんな苦味を噛み殺してでも、幸せと呼ばれなければいけないんじゃないかと思いました。だってこれは、それでも彼ら彼女らが生き続けてきたという事実そのものなのだから。
あとは、やっぱり当時のみーまーに滲んでいた切実な感じみたいなものは、この巻にはないかなあという気も。入間人間による昔の入間人間のエミュレート感というか。そのドライさがより一層、救われ無さを際立たせているようなところもあるのですが。