小林さんちのメイドラゴン 6 / クール教信者

 

 アニメ化を経て、もう一度キャラを見直した話とあとがきにある通り、新しい何かがある訳ではないけれど、彼ら彼女らがここにいる理由を深掘りするような話になっていました。

ドラゴンたちにとって、小林さんが生きるこの世界が救いになるというのは、ある意味正しさの軸を無理やりこっち側に強いている傲慢さというか、ドラゴンならドラゴンなりの正しさがあるのではないか、みたいなことを思いながら読んでいたところもあったのです。でも、終焉帝の話やトールの話を読むと、トールたちがありたいようにあれる世界があって、その真ん中に小林さんがいたというのがこの作品なんだなと思いました。だからこそ、その出会いは本当に奇跡なのだろうなと思います。

それが自由を求めて闘った先の束の間の夢であったとして、むしろそうであるからこそ、トールにとって小林さんがいるこの瞬間は、とてもとても大切なものなのだろうと。そして、この作品のそういうところがやっぱり好きだなあと思うのでした。