【マンガ感想】SPY×FAMILY 1 / 遠藤達哉

 

SPY×FAMILY 1 (ジャンプコミックス)

SPY×FAMILY 1 (ジャンプコミックス)

 

私は「TISTA」が大好きだったのですが、そんな遠藤達哉の最新作が連載で読めて、しかもそれが最高に面白いだなんてそんな幸せなことが他にあるかと小躍りしたくなるようなシリーズです。いや本当に、めっちゃ完成度高くて面白いんだってば。

凄腕スパイの男に命じられたターゲットの殺害。そのために必要なのは名門校への潜入。ということで彼は急ぎ孤児院から娘候補を探し、そして妻候補を探し、もちろん正体は伏せたままに疑似家族を作るのですが、実は娘はエスパー、そして妻は殺し屋だったというのがこの作品のポイント。

この3人のキャラクターの魅力とそれぞれに抱えた事情を隠しながら作られた家族という偽りの関係が良くて、殺伐としそうなところでコメディしながら、孤独に生きていたはずの3人に絆めいたものが見え隠れするようになるのが絶妙な塩梅です。寄り添い合う姿は本物の素敵な家族に見える時があって、いやそれはスパイとしてロクな結末を迎えないぞと思いつつも、読んでいる方もこの嘘ばかりの関係にどんどん思い入れが深まっていく感じ。

そして娘のアーニャがね、かわいいんですよ。クソガキ感と抱えていた寂しさと「ちち」と「はは」への想い。人の思考を読めるからこその動きで、子は鎹を地で行くような立ち回り。良い子なんですよ。今のところ任務が終わればばらばらになるか、それ以上に酷い結末だって容易に想像できるのですが、そこをですね、なんとか、なんとか、幸せになってほしいんですよね……。信じているぞ、ホームコメディ。