世界は密室でできている。 / 舞城王太郎

世界は密室でできている。 (講談社文庫)

世界は密室でできている。 (講談社文庫)

すごい感じはするんだけど、やっぱり何がすごいんだかわからない不思議。
舞城だなぁと思う、強烈な勢いのある文章の青臭い青春ミステリです。相変わらず読んでいると引きずり込まれるんですが、読むのにすごくエネルギーを使う文章でもあります。密室が出てきて事件が起きて探偵が解くっていうと普通ですが、真相は想像を軽く超える訳分からないもので、しかもごちゃごちゃ考える暇を与えずそのまま文章の勢いに押し流されて次の場面に進んで最後まで駆け抜ける感じ。でも、読み終わって考え直すとちゃんと構成されてるような。私はこの勢いに負けちゃって思考停止するんですが、根底には何かすごいものがあるような気もします。
話は青春モノで西暁で最終的には家族愛。煙か土か食い物よりバイオレンスな部分が減ってるので読みやすいことは読みやすいかも。最後の章の恥ずかしいほどに青臭い叫びが良かったです。このためにここまで読んできたのだなぁといったところ。
ただ、やっぱり個人的に舞城は合わない気がします。いまいちピンと来ないというか、わからないというか。
満足度:C+