左巻キ式ラストリゾート / 海猫沢めろん

二次元の楽園にありったけの愛憎をこめて!
記憶がない僕が目を覚ますと、そこは12人の少女しか存在しない学校で、そこに連続強姦魔が現れて僕は犯人を探し出す、といった筋書きの話なんですが、これがまたすごい。始まったと単にラストスパートをかけて、最後までそのまま走り去ってしまうような勢い。18禁だけあって辟易とするとような強姦描写と、やたら抽象的で観念的なアイデンティティだの世界観だの認識だのの話。果てはイデア論まで出てきます。内容はなんというか狂気と狂気。喪失した外部。閉鎖世界。サイコパス。ドラッグ。神。謎の暗号。連続強姦。陵辱。純愛。消える少女。とあらすじに書いてあるような感じ。空虚に書きたいのか魅力的に書いたのかわからないような世界の中で、典型的に記号的なキャラクターの女の子達が強姦され、僕は無気力で、オタクデータベース的な引用が大量になされ、最後に現れるは世界の解体と再生、真実、僕の未来。
とにかく虚構の楽園世界に力いっぱいの愛情と、力いっぱいの憎しみを注いだような小説。とにかくそのテーマがぼやかさず直接的に書いてあるような。ユリイカ西尾維新特集で、ポスト西尾維新に上げられてたので読んだのですが、これはまぁ確かにファウスト系と通じるところがある気がします。なんというか、オタクのオタクによるオタクのための小説。閉塞感と空虚さと二次元愛好者の自意識の解体と再生。そんな話。
とりあえず性的な描写に免疫がない自分を痛感。見てらんない。
満足度:A