かしまし〜ガール・ミーツ・ガール〜 3巻 / あかほりさとる・犬上すくね・桂遊生丸

かしまし~ガール・ミーツ・ガール 3 (3) 電撃コミックス

やっぱりこの設定はすごく良く出来てると思います。
初々しい恋に三角関係なんてありふれた題材を扱っているのに、はずむが女の子にTSされてるから、少女三人の中に友情なのだか愛情なのだか微妙な関係が生まれて、その関係性が見ていて面白いです。やす菜ととまりの仲がなんだかよくなっていますし。なんというか、単純に幼い恋の物語な気がしなくもないですが。
そしてその三角関係が落ち着いて、それぞれのキャラの役割もきっちりとして、幸せなラブコメ風味の毎日が始まるのかなと思わせておいてこの展開。あげるだけあげてきっちり落としてきました。ここで取り乱すのがあゆきだというのが、キャラ配置が実に巧妙。個人的にはこの展開は唐突ですが、筋が通ってないわけではないしアリだと思います。これで、どのような結末を物語が描くかがこの作品の一番重要なポイントになってくる気がします。
桂遊生丸の絵は相変わらず可愛らしくてとても素敵。繊細な感情表現が、読んでいてこっぱずかしくなる感じで素晴らしいです。
満足度：A

蛇足になりますが、この設定はここで考察されているような考察が色々出来そうなくらい、時代の空気を切りとって商業化した秀逸な設定だと思うのですが、どうなんでしょう。この種の考え自体は結構前から見かけるものではありますが。
かしましのゲームも主人公=プレイヤーキャラははずむ。この作品をおそらく男性が多く楽しむだろうということが面白いなぁと思います。単純に考えれば明日太に感情移入するのが当然なのでしょうが、もしかしたらなんか違うんじゃないかという感覚があるので。
個人的には男の子の少女化願望と、両性が未分化だった頃のような幼児期の関係性への憧れ、みたいなものが、この作品を駆動しているような気がします。