ネクラ少女は黒魔法で恋をする 4 / 熊谷雅人

短編集。脇役にスポットを当てたことで、悪い面も良い面も出てるかなと。
4本の短編からなる短編集で、1話目は空口姉妹、2話目は雛浦さんと大河内、3話目は三癒と湊山、そして4話目は演劇部の合宿の話。
相変わらず真っ直ぐで暖かい空気が素敵です。特に1話目の空口姉妹の関係は絶妙。ケンカするほど仲が良いという言葉を地で行くような姉妹の関係に思わずニヤニヤしてしまいます。お互いに大事に思ってるのに、うまく意思が伝えられなくて、ケンカになってしまう辺りが可愛らしい。「あの子が自分を好いてるかもしれない」という男子の妄想垂れ流しな湊山の話でも感じましたが、この辺りの中学高校生の心理描写と関係描写は素晴らしい思います。湊山の話は、なんというかあるある的な感じで笑うに笑えませんし。
ただ、ストーリー自体はよくある話ばかりで、展開には都合の良すぎる部分やどうかと思う部分も結構あって、ストーリーで引っ張っていくだけの力は無いかなと思いました。もう一捻りスパイスが効いたような話が読みたいところ。
あと、この人の文章は真帆でこそ生きるのかなという気も。真帆の一人称では、弱気になる部分と強気な部分なんかが上手く表現されていて、はまっていると思うのですが、どうも他のキャラの語りになるとしっくりしない感じがします。やはり、この物語はネクラ少女である真帆の語りがあってこそなのだと思いました。少しずつ前向きになって、行動も変わってきた真帆がこの先幸せをつかめるるようにと、思わず応援している自分がいます。
満足度:B+