異国迷路のクロワーゼ 1巻 / 武田日向

異国迷路のクロワーゼ 1 (角川コミックス ドラゴンJr. 111-2)

異国迷路のクロワーゼ 1 (角川コミックス ドラゴンJr. 111-2)

表紙だけで既に満足できそうな私がいます。着物!着物!
武田日向最新作。相変わらず美しい絵を描く人で、季刊出版の雑誌とはいえこのクオリティを維持するのは凄いとしか言えません。細部まで書き込まれた絵は美麗でいて、しかもこの上なく可愛いという素敵さ。
ストーリーの方もなかなか。19世紀後半、明治時代の日本から一人花の都巴里に渡った少女ユネと、ユネを迎え入れた看板屋の若き店主クロードの交流が描かれます。この辺りの設定は、武田日向が挿絵を担当しているGOSICKの影響があるのかも。
国際化がまだ遠い世界の中でのフランス人と日本人との異文化コミュニケーションがメインに据えられてはいますが、初めて奉公の形で社会に出たユネの物語としても読めたり、労働者階級のクロードと富裕層のアリスの対比があったりしてなかなか厚みのある話になっています。ただ、時代考証はある程度いい加減なような感じもありますが。
しかしこのマンガの最大の注目ポイントは、クロードとユネの間に確かに生まれていく信頼の絆。日本とフランスの文化の違い、ユネの甘さとも言える優しさとクロードの大人としての考え方。お互い理解し合えない部分をたくさん抱えてぶつかり合うこともありながら、お互いを慈しみ、大切に想っていることがいっぱいに伝わってくるのがたまらなく素晴らしいです。特に、それを見せつけられた4話には思わずうるっとくるものがありました。
次の巻が出るのはかなり先になりそうですが、2人のこの先を楽しみに待っていようと思います。
満足度:A