- 作者: タカハシマコ
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2007/06/18
- メディア: コミック
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タカハシマコさんの描く少女は、ビター&スゥィートで素敵だ。
それはまるで、熱くて苦いコーヒーに浮かんだ、甘くてつめたい生クリームみたいな存在感です。
――桜庭一樹
帯の桜庭一樹の言葉がまさにという感じの、10つの少女と少女の物語から成る短編集。
透明で、ふわふわとして、思わず触れたくなるけれど、できるなら遠くから眺めていたいような、甘ったるい少女たちの世界。およそ幻想じみたその世界の中に映る、一瞬の、無邪気で、澄んだ残酷が、この作品であり、この作品に描かれる少女というものなのだと思いました。
短編の中では「タイガーリリー」が好き。すべてを忘れて行く最期の時まで、あるいは永遠に残り続ける、学生時代に交わしたもの。そこに見える美しさと狂気が、女生徒の姿のまま描かれる二人の老婆から、まるで触れてはいけない聖域のように感じられて、思わず一歩後ずさりそうになりました。
甘いお菓子の中に苦い毒が入っていたような、背筋が冷たくなるような恐怖感。でもそれこそが、この作品の一番の魅力であるのだと思います。