嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 10 終わりの終わりは始まり / 入間人間

みーくんの周りで起きていた事件、その過程、結末。もう一度語られるみーくんとまーちゃんの物語は、最後まで嘘を貫き通し、そして、XXだけを残して。
詳しい内容に触れるとネタバレになってしまうようなタイプの話なのですが、とにかく、「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」という作品らしさを最後まで通しきった作品であり、そういう意味で良い最終巻だったと感じます。どうしようもなく終わってしまったところから始まる物語。当たり前のように壊れていて、でも壊れている事自体には踏み込まずに、語り口はどこまでも軽く。全てに対する諦念と幸せへの執着、混じり合う嘘と真実、後ろ向きなポジティブさ。御園マユはただ壊れていて、それでもその選択を望んだ。みーくんはそのマユのために壊れようとして、ボロボロになっても、嘘を突き通した。
前向きに終わっているような、後ろ向きに続いているような、どうしようもないところを揺蕩っているような、そんな物語。でも、ここにある感触には、確かに惹きつけられるものがあったと感じます。何の意味もないと言われればそれまでで、でも切り捨てられるようなものではない何か。キャラクターの魅力も、ストーリーの魅力ももちろんあるのですが、私や、きっとこの作品が好きな多くの人が今感じているんじゃないかと思うそんな感覚がここにはあって、そのことがとても魅力的だと思うのです。
嘘付き少年と壊れた少女の物語の先に、意外な人物によって語られるエピローグ。みーくんとまーちゃんの物語にある非現実的な要素を取り払って現実の枠の中でこの作品のテーマを語るような、ちょっと説明しすぎなのではないかとも思うようなそれ。とっくに終わっていて、それでも続いている、その先の何か。

明日もきっと良い日じゃない。
けど、私はそんな日でも過ごしていける。

こんなふうに締めくくられるラストまで、みーまーはみーまーだったと思わさせられる一冊。このシリーズが、私は大好きでした。