F1マレーシアGP

DRS+KERSにピット戦略によるタイヤのタレ具合の差で至る所で常にバトルが見られるような刺激的なレースでした。特に1秒以内に入ってからの攻防は、あぁこれがレースだよなと思うものが多くて、オーバーテイク増加を狙ったFIAのやり方が久々に当たっている感じです。
そんな中でもベッテルの独走ポールトゥウィンはまさに完勝。レッドブルKERSに弱点を抱えていて、接近戦に持ち込まれるとかなり苦しいところをウェバーが見せていただけに、影をも踏まさぬこの圧勝が勝ちパターンになるのだなと思います。
そして独走レッドブルに並ぶところまで来たマクラーレン。今回はハミルトンはアロンソとのバトルの末に沈んでしまいましたが、バトンが持ち前のしぶとさで2位表彰台。独走ベッテルは止められずとも、タイヤに苦しむウェバー(4回ストップだった!)には完全に勝っている印象があります。
さらにTOP4の座に入り込んだルノーは今回はハイドフェルドがベテランらしいレースを見せての3位入賞。ペトロフのコースアウトからのリタイアは「いつもの」ペトロフでしたが、それでもこのチームがダークホースになりそうな予感は十分です。
フェラーリは相変わらず予選の速さに苦しんでいるものの、レースで見せたアロンソのペースは多少明るいきざしになりそう。ハミルトンとのバトルで接触して後退したアロンソですが、それがなければ3位表彰台に手が届いていただけに、今後の巻き返しにも期待できそうです。
そんな4チームが今年のF1の軸になっていることはここ2戦でもうすでに明らかなのですが、日本のファンとして嬉しいのがその下のBクラス的中堅チームの中から、このTOP4チームに唯一挑みかかっているのがザウバー小林可夢偉であるということ。2戦続けて一発の速さでねじ込んだ予選TOP10。そして驚くほど冷静で安定して、ミスのない決勝のレース運び。さらに今回シューマッハに対してみせたオーバーテイクのすばらしさ! 前回は失格となったものの、今回は4チームを除けばトップとなる7位フィニッシュで実質2戦連続の入賞。日本人ドライバーというところで過剰な期待をかけていた面もあるのですが、正直この速さは本物だと思います。このレースが残りのシーズンでもできるなら、トップチームから声がかかることもあり得るんじゃないかと思えるほどに。
その他のチームでは、お荷物3チームの中からロータスが中団グループを視界に捕えるところまで来ているのが印象的。予選でコンマ5秒のところまできて、決勝でも前にくらいついていった姿に、F1チームとしての進歩が見えて、将来に期待したくなるレースでした。
そんな感じの面白いレースでした。間髪入れずに来週は中国GP。これも楽しみです!