Latin 高畠エナガ短篇集1

高畠エナガ短編集 1 Latin

高畠エナガ短編集 1 Latin

新人作品らしい荒削りさとパワーに溢れた一冊でした。これは帯で前のめり気味のプッシュをされているのも分かるなあと。
短篇集なのですが、短い話の中でとにかく熱量の込め方というか、感情の振れ幅の大きさがすごいと思いました。話としては基本的に凄くベタな展開をしていて、細かいところはかなり雑というか荒っぽさを感じるのですが、そんなことはどうでも良くなるような前に進むパワーみたいなものがあります。よく笑って、よく泣いて、よく叫んで。そういう感情表現、そしてマンガとしての見せ方はまさにセンスとしか言い様がなくて、これからが楽しみになるような一冊だと思います。
捨てられていたアンドロイドの少女と彼女を拾った人間の少年の交流を描く表題作とか、もうどベタな話なのですがこれがまた! みたいな。そしてアンドロイドと人間の関係を特殊なものではなくすごく当たり前の一対一で描いているところが面白かったです。他の短編も合わせて、この作者は人間と人間ではないものとか、人間ではないもの同士の話が好きなんだなあと思ったり。