【映画感想】少女☆歌劇 レヴュースタァライト ロンド・ロンド・ロンド

 

 TVシリーズの総集編は総集編でも「再生産」総集編。レビュースタァライトという作品のテーマと密接に関わったその言葉が、作品に対してもう一度働きかけた結果何が生まれるかを見せつけられるような映画になっていました。

基本的には総集編で、華恋とひかりを中心にしてまとめられたTVシリーズです。ただ、予告でもフォーカスされていたななの新規シーンが差し込まれたり、話運びやレヴューシーンにも改変が施されていて、ただの総集編ではない感じ。

とはいえダイジェストではあるので、TVシリーズからして概念をそのままお出しされるような作品だったものが、より抽象化されてなかなか難しいなと思いながら見ていたのですが、戯曲スタァライト、大場ななによる再演、アタシ再生産、そして華恋とひかりの運命という大きな仕掛けを通して作品を貫いていたものは非常に純化されて分かりやすくなっているなと思います。

この物語では、全く同一のキラめきを「再演」するというななの望みは完膚なきまでに否定されます。学園生活の三年間で三度演じられるされる戯曲スタァライトに二度同じ舞台はなく、舞台少女たちは過去の自分を燃料にして、新しい舞台に常に新しい自分で生まれ変わり(「アタシ再生産」)、運命の二人による予想もつかない舞台は時に結末さえも変えていく。そうして生まれる舞台上のキラめきは一瞬にして永遠。瞬間に燃やしつくされるもの。

そしてそれを肯定するのがレヴュースタァライトという物語であるならば、「再生産」総集編がただ繰り返すだけの総集編であって良いはずがないのです。TVシリーズは燃料となり、常に新しいものとして「再生産」されるからこそ、この改変は必然だった。尺的なところもあってカットされて残念な部分もありましたが、例えば新しいレヴューシーンのふたかおなんて、なるほどこういう方向で解釈が進んでいるのか……という深められた驚きがありました。

そして、そうやって再生産されていく物語の最後に「再生讃美曲」という主題歌がかかって、その上で歌詞から取り出されるキーワードが「選ばれなかった過去たちへ」であり、提示されるイメージが「舞台少女たちの死」なんだから本当もうさあ! ってなるじゃないですか。

すでに選ばれなかったたくさんの再演というループの上に、この物語は立っている訳です。燃やされて、再生産された、選ばれなかった過去たち。届かなかった舞台少女たち。運命の舞台がまだ続くというのなら、向き合わされるのは舞台の下に積み重ねられたその死体たちになるのではないかと。そう思うと、来年公開の新作劇場版が怖くなると同時にとても楽しみになる、そんな再生産総集編でした。