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博多豚骨ラーメンズ / 木崎ちあき

メディアワークス文庫からの電撃小説大賞 大賞受賞作ということで、主要キャラクターほぼ全員男というのが確かに今の電撃文庫でこれは出ないのかなあという一冊ですが、ちゃんとメディアワークス文庫があって良かったという感じでした。面白かった!
人口の3%が殺し屋の街・博多というかなりかっ飛ばした設定で始まる物語ですが、描かれるのかこの物騒な街を舞台に繰り広げられる群像劇。大量の殺し屋にマフィアに公権力に正解の大物と用心棒に探偵にスリに拷問屋に復讐屋と、これでもかと物騒なキャラクターたちが投入されて走り回ったり殺しあったりする殺伐とした話のようでいて、読んでみれば中身は軽いタッチでテンポよく軽快。サクサクと人は死んで負の感情が入り乱れたりしつつも重たくなることはなく、視点を切り替えながら次はどうなるのだろうと先の展開に興味を引っ張っていくような感じ。思わず先へ先へとページを捲ってしまうようなスピード感がありました。
ラストまでどこに着地するのかわからなかった物語は意外な展開というか、結局誰が誰の掌の上で踊ってたのかというところになってくるのですが、そんなことよりとにかく後味悪い結末に漂う謎の爽やかさみたいなものが素晴らしかったです。作者が野球が好きなのだろうということはさんざん差し込まれる野球の話で分かっていたのですが、それがそうなってまさかタイトルがねえ! みたいな。
キャラクター的には美貌の女装癖でクソ生意気な殺し屋の少年林が組織に逆らって殺されかけたところを拾った形になる、飄々としながら実は超人っぽい探偵の馬場のコンビがいい感じでした。放任主義なようで手厚い飼い主と言うことを聞かない野生の猫というか、男ツンデレっぷりが良い感じです。