パンツあたためますか? 2 / 石山雄規

 

パンツあたためますか?2 (角川スニーカー文庫)

パンツあたためますか?2 (角川スニーカー文庫)

 

 あの結末から一体何をどう続けるんだと思ったら、ヤバい女が増えた……という感じの続巻。真央が地元に帰ってそれでも手紙のやり取りは少しあり、大学生活は相変わらず低空飛行な久瀬に、絶対関わっちゃいけないでしょこの人という女たちからのモテ期? が到来するという話なのですが、これが本当にヤバい。

留守中に人の部屋のベッドでパンツ握りしめて全裸で寝てるあなたにハッピーエンドをもたらすと宣う隣人と、バイト先でちょっと助けたらいきなり身の上話を語りだして何もしてないのにあなたの子を妊娠したと迫ってくるゴスロリが、どっちも話したこともない個人情報を把握していてストーカー疑惑があるってかなり警察に行ったほうがいい事案ではっていう。

そんな引きの強さのある話ですが、中身は結局ダメ人間たちの青春模様であり人間模様。正しさに振り回されたり、寂しさに振り回されたりしながら、それを上手くコントロールもできず、信念を貫けるわけでもなく、コミュニケーションのとり方は滅茶苦茶で、でも彼ら彼女らはここで生きているんだという感じ。こういう人たちを、こういう手触りで書いてくれる小説、本当に好きです。構成も文章も上手いとは思わないですが、それもまた作品にあっていると思います。

しかしまあ理沙はちょっとヤバさの度合いが違うというか、自分に実現できない理想を安全な場所から人に押し付けて救世主のように振る舞うのは人としてアレ過ぎる感じ。それからあの姉妹はお誕生日会のシーンがとても良かったのでここからちゃんと幸せになってほしいなあと。あとアクが強いキャラが多すぎて真っ当にヒロインしている優が不憫。そして何はともあれ、この話は久瀬と真央の話なのだなあと思いました。

そして2巻を読んでもやっぱりこのタイトルにした編集者はちょっとどうかしてると思いました。内容が何一つ伝わらない……。