子供たち怒る怒る怒る / 佐藤友哉

子供たち怒る怒る怒る

子供たち怒る怒る怒る

ユヤタンユヤタン。純文学でもユヤタン
そんな訳で、ハードカバーです! 新潮社です! 純文学です! 表紙がJ文学っぽいです!表題作プラス短編が5つ。内2本が書き下ろし。
とにかく相変わらず気持ち悪い小説を書く人です。読んでると気分が悪くなります。精神的に辛いのと合わせて、グロ描写が結構きついのがさらに辛いです。
内容はほぼ満足。表題作が一番かな。主人公の告白は蛇足な気がしましたが、惹き付ける力は一番あります。世界との断絶とか、世界への怨嗟とか、世界からの疎外感とか、世界への諦念とか、理解を超えた不条理とか。べったりした歪み見たいな何か。とにかく精神的に薄ら暗い世界を見せ付けてくれる本でした。無機質なところから生々しい負のオーラが立ち上っているような。社会的弱者からの恨みつらみのような。最終的にはそれでも闘えと。こういう感じのものを読んだことがない人には、とんでもない話な気もしますが、似たような思考を抱いたことがある身としては、もうちょっと強烈なテーマであって欲しい気もしました。自己完結の話とか、人形になる話とか、理由の無い話とか良いんですけどね。グッと惹き付ける力は十分。大変気持ちの悪い良い小説でした。
満足度:A