レジンキャストミルク２ / 藤原祐

レジンキャストミルク〈2〉 (電撃文庫)

この悪趣味さ。しかし何故か心地よく。
今回は『目覚まし時計』速見殊子と『アンノウン』佐伯ネア登場の巻ということで、やってることはあまり一巻と変わりなく。あらすじを簡単に示せば『無限回廊』が城島晶の日常に揺さぶりをかけてきて、それを何とか撃退するといった超能力系のバトルアクションもの。
日常パートから非日常のパートへと移り変わっていくのですが、日常パートも虚軸関連の人間が関わるとどこか欠けてるような危うい印象を抱かせます。明るいコメディ的な面白さもあるのに、なにか暗さを引きずったような雰囲気。そこからシリアスな非日常のパートへ移っていくにしたがって、話は救いがどんどんとなくなります。全てのパーツがはまった時、主人公の周りにいる人間達でよくもこう意地の悪い構図を作れるものです。人の心の弱さを引き金に現れるはあまりに救われない状況。そしてそれを解決しなければならないという。最後の最後で希望はまだ見えつつも、結局すさまじく意地悪な状況には変わりなく。そして冒頭に持ってきたエピローグへと繋がる話はもはや悪趣味の領域。しかしそれが不思議と心地よいのはこの話の持ってるダークでネガティブなトーンがが私に合うということか。そんな感じは作者の電撃の缶詰でのコメントやあとがきを見てもわかりますし。
キャラクターは結構な数が出てきますがみんな魅力的。視点も結構変わりますが、個人的には感情があるような無いような硝子の一人称がいい感じです。もう一人くらい魅力的な男キャラが欲しいと思うのは贅沢か。
この先面白くなりそうな要素は十分なので続きにも期待大です。
満足度：A