オタク女子研究 腐女子思想大系 / 杉浦由美子

オタク女子研究 腐女子思想大系

オタク女子研究 腐女子思想大系

1,500円は出せないなぁと思ったので立ち読みしてきました。面白い本でしたが、これはまぁ詳しい人からは叩かれるだろうなぁという印象。全編が実証でない又聞きの雰囲気語りで終わってしまっているので、じゃあ本当にそうなのか? と言われるとかなり弱い気がします。腐女子ではない筆者が取材で腐女子の表層を救いとって、こういう楽しい生き方もあるんですよと紹介しているようなイメージが一番近いかも。そうするとまた考察が中途半端に入っている当たり微妙なのですが。しかしこれを読むと腐女子楽しそうでいいなぁと思います。隣の芝は青し。そういう風に書いてある本なんだから当たり前なんですが。
それにしても、(ちょっと目を通しただけで積んであるんですが)、中島梓タナトスの子供たちなんかと比べると、同じ腐女子語りの本でも切実さが全然違うなぁと。やおい文化の始まりの人にしてそうならざるを得なかった当事者の真に迫った自分語りが行なわれてる本と、やおいを趣味として単純に楽しむことを見つけだした層を取材して第三者視点から書かれた本。時代背景もありますし、色々差は出てるのでしょうが、ここまで違うとまた面白いです。
しかし、腐女子がみんなこうだと言うような勢いで断定していくのはちょっとどうかと。腐女子にしろ、男オタクにしろ、解説本が出るのは結構ですが、一般化しようとするあまりその中に多様性があることを忘れてしまってはいけないと思います。今までその存在を知らない層にアピールするものなら尚更。
内容に関しては思うところがあるのでちょっと保留。考えがまとまったら男オタクと腐女子についての考察でも書くかもしれませんし、書かないかもしれません。